③「サイド・ステップ」は必要?

 バスケにおいてサイド・ステップはフットワークで毎日行う基本中の基本の動作になります。横幅を保ったまま動くよう指導すると思いますが、私はサイド・ステップは使いません。

 

 そもそも相手が走って抜いてこようとするときに、サイド・ステップで追いつけると思いません。100m走で競争するときに、普通に走る人にサイド・ステップで勝てるわけがありません。そのため私はサイド・ステップで対応することを求めません。サイド・ステップの構え方は力が入りすぎて、理論に合わないです。その代わりに脱力動作の「クロス・ラン」というもので対応するように指導します。相手が走って抜いてくるのだから走って対応すべきだと考えます。

 

 その前に相手との距離感がかなり違います。通常ワン・アームやハーフ・アームといったように、腕の長さの一本分もしくは半分の距離をとります。しかし私の場合は、相手の足元に入る=お腹がつくくらい近づく、ように指導します。

 そうするとオフェンスは一歩目を外に踏み、踏ん張りながら抜こうとするはずです。その遠回りする一歩のところに走り込むようにすればいいです。その時、相手の踏ん張る力に対して、こちらも力で対応しようとすると力負けします。そのためクロス・ランは力を抜いて倒れるようにして走ることが求められます。つまり「アンバランスなバランス」で走るのがクロス・ランです。

 

 私の指導する「脱力反射理論」は自分たちはあまりがんばらず、相手だけがんばらせることになります。そのため力の差がある相手でも、試合終盤におもしろい展開が増えてきます。